「オンライン『アルジャーノンに花束を』読書会」レポート 25/6/28

レポート

6/28のオンライン読書会、「課題本『アルジャーノンに花束を』読書会」のレポートです。

※本編のネタバレを含みます
本記事は読書会ででた意見を再構成・加筆編集してます。

作品全体の感想共有

主な感想
• 「何度読んでも泣いてしまう」
• 「チャーリーの急速な変化に心が動かされる」
• 「宗教的・心理学的な暗示やフロイト的解釈が感じられる」
チャーリーの成長と退行:知能の急上昇とその後の衰退が、他者と異なる時間軸で描かれ、読者に強い印象を残す。

終わり方についての議論

上がったまま終わるべきか?
• 現実的な終わり方を評価する声。
• もし上がったままだったら、よりSF的になっただろうという意見も。
成長→退行の構造:実験の効果と限界、そして人間らしさの回復という視点。

差別と周囲の対応の変化

差別がテーマとして重要
• 「差別があるから思いやりも生まれる」
• 「見下す対象であっても、関わりの中で変わる人間関係」
チャーリーの周囲の反応
• 賢くなると冷たくなる人もいれば、逆に距離を詰めてくる人も。
• 退行が始まると態度が変わる者もおり、人間関係の本質があらわになる。

文体・形式(報告書形式)の印象

報告書形式の特徴
• 主観性が強く、読者が感情移入しやすい。
• 季節感・時間経過(春から冬)とともに知能の推移が感じられる。
• 読み手に「本当にあったこと」のようなリアルさを与える。
心の葛藤の可視化
• 書きたくないことを書かざるを得ない、義務としての記録。
• 自身の変化を自覚している語り手だからこその強さ。

キャラクターの魅力と関係性

家族との関係
• 父親:記憶上は優しいが、再会時は冷淡。
• 母親:精神の不安定さと時折見せる愛情。
• 妹:会うのが怖かったが、温かく迎えてくれる。
科学者たち(ニーマー教授、ストラウス博士)
• 倫理的葛藤と立場・欲望の矛盾。
パン屋の仲間たち
• いじめつつも助ける、人間らしい矛盾した態度。

アルジャーノンの象徴性

実験動物から仲間へ
• チャーリーが見下していたアルジャーノンに、最終的に友情・敬意を抱くようになる変化。
差別のメタファー
• アルジャーノンを「他者」として扱う中で、人間の優越感や見下しの感情が浮き彫りに。

最後の感想・まとめ

成長とは何か、知能とは何か
• 知能を得て、失ったあとに残った“思いやり”こそが本当の意味での成長だったのではないか。
読書会の意義
• 多様な視点が交錯することで、作品の多層性を再認識。
• オンラインの良さ:遠方の人とも語れる喜び。

本書はオフラインでも扱いましたが、また新たな意見が出てきて、貴重な会でした。

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