ゼロ年代SFベストと名高い本作
デビュー作にして洗練された表現
SF的な設定がよく作り込まれており
作者の博識ぶりと想像力が伺えます
ただ登場人物がいちいち学者や作家、映画などに言及しないと気が済まない質なので、スノッブな文体にくどさを感じる人もいるかも
ミリタリーSFの皮をかぶっていますが
主人公が苛烈な戦場や母の死を通して、自分とは何か?意識とは何か?自由意志はあるのか?といった実存哲学的な疑念に入り込んでいくことがメインテーマな作品
展開はありがちっちゃありがちですが、ギミックと問いが呼応して収束する自分好みの展開でした