「はてしない物語」感想 *バレ

感想

前半は、典型的なファンタジーアドベンチャー劇中作+小心者の読者を媒介とするメタフィクション構成で、より作品に共感しやすい作りとなっています

 

中盤は一転、「異世界転生して俺tueeeしてたら魔王になりかけてた件」とでもいうような、現代なろう小説さながらで笑いました

 

後半は本当の望みってなんだろうね、結局愛じゃね?という安直な展開にノレませんでしたが、一応以下に自分なりの解釈

人間は精神と実体が重なり合った存在

前半は人間たちにファンタジーの世界が忘れ去られたせいで、ファンタージエン(本の中の世界)は虚無に覆われ、崩壊の危機に瀕していた。 

 

それを回復するためには、現実世界から来た人間が女王に名付けをする(加えて世界に物語を与える)必要があった。

 

後半は、少年が女王に名を与え、世界に”望み”という形で物語を広めたおかげで、ファンタージエンは危機は脱したが、望みと引き換えに少年の記憶が失われていく。(最終的には伽藍堂になってファンタージエンを彷徨ってしまう恐れがある)

 

しかし少年には自分の真の望みがわからず途方にくれる。なぜならどのような望みも空虚だからだ。

 

しかし旅の中で残された父の記憶から愛する気持ち取り戻し、愛することこそ真の願いだと知る。

 

なぜ愛こそが現実への回帰の鍵なのか?それは愛が実体(フィジカル)に結びついているからだ。

 

空想への愛(のようなもの)は欲でしかない。

ファンタージエンと現実世界とは人間の精神と実体の二面性なのだ

 

この物語の前半は想像力の危機。後半は愛(フィジカル)の危機。

どちらが欠けても人間は人間たり得ない

互いの尾に噛み付く二色のヘビが空想と実体の象徴でしたね

P.S.

アイゥオーラおばさまの章は藤子F不二雄先生の「やすらぎの館」を思い出しましたね

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