八王子市夢美術館で開催されている「エロール・ル・カイン展」に行ってまいりました。
ル・カインは混血であることや、どの民族的コミュニティからもあぶれてしまった背景が影響か…
特定の画法に執着せず、さまざまな絵柄取り込み、物語に合わせて、変幻自在に嚼出する、独自のスタイルを有しています(それを評して彼は「借りもの上手のカササギ」とも呼ばれている)
彼の絵を見た感想としては、
まず、枠の使い方が格別に上手い。これは単に紙面の枠内の使い方が上手いこともあるが、紙枠とは別に、独自に(物語を象徴するような)フレームを描くことで、場面を超えた世界観を表現することを成し遂げている。
絵本という舞台においては、このように限られた紙面の中で、場面以上の世界観を見るもの頭に湧き上がらせることが、いかに重要なのか気がつかされました。
また、彼の特有のデフォルメが、現実とは異なる物語の世界感の演出を加速させているように感じました。
そして、色づかいは鮮やかでありながら軽薄さはなく、幻想的に趣深い、筆舌尽くせぬ色貌へと表れています。
普段観るアート画家の作品とは違った、絵本作家としての刺激をもらえる展示でした。