NEW!心なき技術がもたらす喪失 -人間、社会性生物の視点から-

エッセイ

例えば、単純接触効果(ザイアンス効果)を単なる恋愛テクだと勘違いした愚者は、心神喪失に陥る。

それはトップダウン的に技術を使用することで、合理性とヒューマニティの間でズレが起きるからである。もっというと、動物には近親者に信頼を寄せ安心感を感じることが、群れや仲間の形成につながり生存や繁栄に有利である、という淘汰のバックボーンがある。そのため、単純接触効果や内集団バイアスは結果として有効なのである。しかしこれは、本来場を共にする者なら自然と形成される親和や愛の情である。それを単なる”術”として用いることで、画策と愛着(脳と心身)、速度や時に方向が異なるベクトルが身が引き千切らんとする力を生じさせる(これがいわゆる葛藤やストレスと呼ばれるもの)。心身の速度を無視して快楽のアクセルを踏み込めば、思考と心情の連関が千切れ、そこにはそこ暗いアビスが生じる。

心身と頭が連動しないと常に感情は吐口を失って身体に滞留し慢性の炎症を起こす。頭では「こうだ」思ってるのに体が動かない、感情は波打っているのに、それを捉えて発露できない。

火は全身に広がり蝕まれていく。

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