先日「レスポンデント条件づけ」と「オペラント条件づけ」の話をしました。これによって様々な反応が私たちに定着することがわかりました。が、これだけでは説明しきれないこともありますので、今日は一歩踏み込んで「二要因理論」というものを見ていきましょう。
二要因理論とは
昔は「恐怖はレスポンデント条件づけだけで説明できる」と考えられていました。しかし、それだけでは
- たった数回の経験で長年続く恐怖
- 時間が経つにつれて強まる恐怖
をうまく説明できませんでした。
そこでモウラーが提案したのが二要因理論です。
1. 恐怖が生まれる段階(第一要因)
危険な物や状況と嫌な経験が結びつくことで、その物や状況を怖いと感じるようになります。
例:犬に吠えられた経験 → 犬=怖い
(レスポンデント条件づけ)
2. 恐怖が続く段階(第二要因)
怖いものを避けると、不安から解放され「ホッとする感覚」が得られます。
この安心感が「負の強化」となり、「避ける」行動が繰り返されやすくなります。
(オペラント条件づけ)
こうして
避ける → 安心する → また避ける
という悪循環ができ、恐怖は長期化・悪化していきます。
曝露療法との関係
二要因理論は、「曝露療法」(詳しくは今度説明しますが、怖いものから逃げずに向き合う治療)が効果的な理由を説明します。
- 「何も悪いことが起きない」経験で不安が減る
怖い状況を繰り返し安全に経験すると、不安は徐々に弱まる。 - 回避行動をやめられる
危険ではないと学習し、避ける習慣を断ち切れる。 - 不安は永遠に続かない
曝露中に不安が一時的に高まっても、時間とともに下がっていく。
二要因理論の限界
後の研究で、次のような問題点が指摘されました。
- 恐怖になりやすい刺激がある(例:花よりヘビの方が怖くなりやすい)
- すべての恐怖症にトラウマ経験があるわけではない
- 他人の体験を見ただけでも恐怖は学べる(代理学習)
- 同じ体験をしても恐怖になる人とならない人がいる
- 恐怖症の発生頻度を説明できない(例:痛い歯科治療経験は多いが、歯科恐怖症よりヘビ恐怖症の方が多い)
さらに、恐怖がなくなっても回避行動だけが続く場合や、予告刺激がなくても回避が学習される現象も説明しきれません。
まとめ
- 重要な視点:恐怖が長く続くのは「恐怖がどう始まったか」よりも、「回避がどう続くか」に関係している。
- 功績:恐怖症の理解や治療法(曝露療法など)の発展に大きく貢献した。
- 限界:すべての恐怖や回避行動を説明できず、その後はSSDR理論など新しいモデルが提案されている。