以前、ニューロ・ダイバーシティの本を紹介しました。それからだいぶこの言葉も浸透してきました。そこで一つ改めてニューロ・ダイバーシティを整理しておきます。
まずは一言で言うと
• ニューロダイバーシティ(神経多様性)=人間の脳や認知のはたらきにある自然で無限のばらつきそのもの(社会全体の性質)。
• ニューロダイバージェント(神経多様者)=社会で想定された「ふつう(ニューロティピカル)」の基準から外れる特性をもつ人。価値が劣るという意味は一切ない。
ニューロダイバーシティのパラダイム
• 「神経多様者は“異なる”のであって“劣っている”のではない」という世界観。障害や生きづらさは、個人の特性と環境(制度や文化、慣習)のミスマッチからも生じる、と捉えます。研究や教育・支援の設計では、当事者が中心に関わるべきだ、と強調します。
3つのモデルで考える
・医学モデル
困りごとの原因は「その人の疾患や障害」にあると考える見方。
・強い社会モデル
困りごとは「社会の制度や文化、環境」が作っていると考える見方。
なので、本人を変えることより社会の側を変えることを重視しやすい。
・相互作用(生態学的)モデル=神経多様性アプローチ
困りごとは、人の特性 × 環境の組み合わせで生まれると見る。
なので、
- 環境を調整する(例:音や光を減らす、手順を見える化する など)
- 個人側の支援(スキル習得、必要に応じ薬物療法 など)も、本人の生活の質を上げる範囲で選ぶ。
- ただし「正常化(普通に見せること)」をゴールにしない
例:聴覚過敏は神経生物学的な差異だが、うるさい環境が強制されるときに障害化する。対処は「環境を静かにする」のか「本人の適応支援をする」のか、または両方をするのか。
ひとくちメモ
• 「ニューロダイバース」は社会全体の性質で、個人へのラベルではない。個人に使う場合は「ニューロダイバージェント」。
• 「神経多様性=強み礼賛」→強みも困難も文脈次第。“正常化”を目標にしないが、本人のQOL向上のための学習・医療・環境調整を状況に応じて使う。
まとめ
• 神経多様性は、人の違いを前提に社会の作り方を見直す視点。支援は人と環境の両面に働きかけ、当事者を含めて進める。ゴールは「普通に近づける」ことではなく、本人が生きやすくなること。