どんな現象?
文字を読んでいるとき、いま注視している語(N)だけでなく、その右隣(日本語横書きなら右;英語も右)の語(N+1)やさらにその先(N+2)を“チラ見”して先取り処理している――これが「パラフォベアル処理」です。視力は中心ほど高く周辺ほど落ちますが、それでも読書では周辺(パラフォベア)からの情報が大きく寄与します。
簡単に言うと、本を読むとき、今まさに見ている単語だけじゃなくて、その少し先の単語もチラ見して先取りしています。
この「チラ見して先取りする」ことをパラフォベアル処理といいます。
なんで大事?
先に少しわかっていると、次の単語に目が移ったときに読むのが速くなるから。いわば予習みたいな効果です(これをプレビュー利益と呼びます)。
どうやって調べる?
もっとも代表的なのが境界法と言うものです。
見えない境界の手前では「ニセの単語」や「本物に近い綴り」を見せておき、目が境界を越えた瞬間に本物の単語に入れ替えます。
このときの読みやすさの変化=どれだけ予習が効いたかを測ります。
ポイント
- 予習は本当に効く
先に正しい・近い情報が見えていると、読む時間が少し短くなる。 - 処理はだいたい二段階
まずは文字っぽさ(綴り)をざっくりつかみ、次に単語としての意味・馴染みやすさを処理する、という流れ。 - 「難しい単語」に足を取られると先取りは弱まる
今見ている単語がむずかしい・珍しいと、注意がそっちに取られてチラ見の余力が減ります。 - 見えにくい環境だと弱まる
周辺はもともとぼやけやすいので、にじみや小さすぎる文字だと予習の効果が小さくなります。 - 脳のデータでも先取りの形跡あり
MEG(磁気脳波計)の研究でも、「次の単語が頻出語かどうか」「文脈に合うかどうか」が、まだその手前を見ているうちから脳活動に出ることが示されています。