NEW!自閉的慣性とは?“始められない・止められない”は怠けではない

メモ

ひとことで言うと

自閉的慣性は、タスクや状態の「始める・止める・切り替える」が難しくなる傾向のこと。本人の意思の問題や“怠け”では説明できず、感情・実行機能・身体(運動)など複数の要因が絡み合って起こると考えられています。

どんなふうに現れるの?

1) 「始められない」

  • やるべきことが明確でも、最初の一歩が出ない/出にくい。
  • 外部からの合図や、環境の工夫があると動き出しやすい。

2) 「止められない」

  • 一度走り出すと切り替えが難しく、やめ時がつかめない。
  • ときにフロー/没頭としてプラスにも働くが、生活の他要素を圧迫することがある。

ポイント:自閉的慣性は「始められない」だけではなく、「止められない」側面も同じくらい注意が必要

よくある誤解

  • 「怠け/先延ばし」では?
    ちがいます。本人のやる気や意思だけで説明できない開始障害・切替困難として、当事者の語りが一貫して示しています。ストレスや不安・抑うつなどの情動要因で悪化し、適切な外部手がかりで改善することが多いのも特徴です。
  • カタトニア」なの?
    現象的に重なるところはあるものの、没頭がプラスに働く面を当事者は語っており、臨床的には区別して考える必要があります。

どうして起こる?

  • 情動・動機づけのハードル:不安やエネルギー低下で“始動”が阻まれる。
  • 実行機能の特性:タスク切替やプランニングのコストが高く、状態遷移が難しい。
  • 身体(運動)レベル:動こうとしても身体が“固まる”感覚(とくに高ストレス時)。
  • モノトロピズムとの関係:関心の“深堀り”がやめられなさと結びつくことがある。
  • これらは単一原因ではなく複合的に重なり、状況(環境・時間帯・健康状態)によって揺れます。

日常生活で起こりやすい場面

  • 朝の立ち上がり(支度や外出の“最初の動き”)。
  • 仕事・学業の切替点(メール→資料作成、会議→個人作業など)。
  • やめ時の見失い(作業や趣味を止めること、就寝への移行)。

今日から試せるコツ

  1. 外部プロンプト(合図)を設計する
  • タイマー、ToDoの一項目化(最小一歩)、口頭合図、同伴者の“呼びかけ”など。
  1. 状態遷移の“渡し板”を作る
  • すぐに本番へ入らず、前置き行動(1分だけ開く/3行だけ書く)を挟む。
  • 環境を役割ごとに分ける(作業机=仕事、ベッド=休む)。
  1. 身体から入る
  • 立つ・歩く・伸ばすなど、運動の微小スイッチで“固まり”をほどく。
  1. 予定の“切れ目”を見える化
  • 終了アラーム+ソフトランディング(5分の片づけ・日誌記入)で“止める”をサポート。

自己チェック(※診断ではありません)

  • □ やる気はあるのに最初の一歩が出ないことが多い。
  • □ 一度始めるとやめるのが難しく、他の予定に遅れがち。
  • 合図・付き添いがあると動けるが、ひとりだと固まりやすい。
  • □ ストレスや睡眠不足で悪化し、安心できる場所やルーティンで改善する。

まとめ

  • 自閉的慣性=状態遷移のむずかしさ(始める・止める・切り替える)。
  • 「怠け」ではなく、情動・実行機能・運動など多因子の現象。
  • 始められない×止められない両極性が核で、ときに没頭という強みにもつながる。
  • 外部合図/環境設計/身体スイッチ/システム調整の組み合わせが実用的。
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