ASDを苦しめる「BIMS」とは? バーンアウト・惰性・メルトダウン・シャットダウン【トロント大学/ホーランド・ブルービュー】①

ノート

以前「自閉的惰性」についての話をしました。しかし、ASDが悩まされやすい問題は惰性だけにとどまりません。

今回は「バーンアウト、惰性、メルトダウン、シャットダウン」を合わせて、カナダ・トロントのホーランド・ブルービュー小児リハビリ病院・ブルービュー研究所とトロント大学医学部作業科学・作業療法学科による共同研究チームが調べてくれていたので見ていましょう。

そもそもBIMSとは

Burnout,  Inertia, Meltdown, Shutdownの総称。

・バーンアウト
重度かつ慢性的な消耗。ASD 特有の要因(例:マスキング=適切行動を装う持続的努力)が関与し、スキル低下や刺激耐性の低下を生む。

・惰性
望む活動に着手・従事できない「動けない/固着」状態。重症度・持続・反復率は様々だが、起こると機能を著しく損なう。

・メルトダウン
圧倒され、制御不能感とストレスの累積を伴う現象。外向きの不安・エネルギーの放出を示す。要因には社会的要求、挫折、恥、コミュニケーションの困難、感情トリガー、過剰な不快感覚刺激など。

・シャットダウン
メルトダウンに類似するが内向的な体験。周囲からの引きこもりと情緒的痛みを伴う。機能レベルは軽度から重度まで幅がある。

また、今回のインタビューではこのようにも言い換えております。

バーンアウト→ Feeling exhausted(すごく疲れる)

惰性→ Feeling stuck(動けない/行き詰まる)

メルトダウン→ Feeling out of control(制御不能になる)

シャットダウン→ Feeling frozen(凍りついたような気分)

  • BIMS(バーンアウト・惰性・メルトダウン・シャットダウン)は、一部のASD当事者の生活で重要な現象。
  • 8名の自閉の子ども・若者の語りから、バーンアウト/惰性/メルトダウン/シャットダウンを検討。
  • SNSなどではASD当事者からよく上がっていた報告だが、まとめて研究したものがあまりなかった。

BIMSにはわたしも長らく悩まされてきたことで、時期によって現れ方は違うのですが、常になんらかにとらわれていました。

次回は、実際にASD者がBIMSをどのように感じ、どのような方策が取れるのかを見ていきましょう。

Phung, J., Penner, M., Pirlot, C., & Welch, C. (2021). What I wish you knew: Insights on burnout, inertia, meltdown, and shutdown from autistic youth. Frontiers in Psychology, 12, 741421. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.741421

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