人間には、「好き」という感情とは別に、「情的なつながり」や「愛着」(愛着には様々な定義があるが…便宜上そう呼ぶ)といったものがあると考える。
たとえ相手が敵対的な存在であっても、長く一緒にいることで、好意とは異なるある種の“情”が芽生えるものである。
それは「好き」とは違うが、なぜか安心したり、離れがたくなったりするような、奇妙な感情だ。
こうした情は、単純接触効果やストックホルム症候群、あるいは腐れ縁といった現象にも通じているものであろう。
たとえば、喧嘩ばかりしているのに別れない夫婦やカップル、過去に虐待やDVを受けたのになぜか想いやってしまう家族、あるいはもっとシンプルに「トムとジェリー」や「(映画版)ジャイアン」のような関係でもいいだろう。
動物は社会的な生き物であり、他者とともにいることが生存に有利なため、このような情が生まれるのは自然なことなのだろう。
好意や敵意とは別のレイヤーで、時間や環境によって形成されていく感情がある。