NEW!ポリトロピックとは何かモノトロピズム理論からわかる注意の配り方

ノート

以前、少数の物事に注意が集中している状況である「モノトロピズム」について話しました。

今回は、改めてモノトロピズム理論とポリトロピックについて、考えていきます。

ポリトロピックとは

複数のことに関心を向け、それぞれに注意を比較的広く配る傾向のことです。

たとえば、料理をしながら、鍋の様子、家族の話、食卓の準備をそれぞれ気にかけるような注意の向け方をイメージすると、理解しやすくなります。

この言葉は、モノトロピズム理論(人によって「注意の配り方」が異なり、とくに自閉スペクトラムでは少数の対象に注意が強く集中しやすいと考える理論)の中で使われています。

そこで問われるのは、集中力の強さだけでなく、限られた注意がどこにどれくらい配られるかということです。ここでいう関心とは、そのとき何が気にかかり、注意を向けているかのことです。

モノトロピズム理論は何を説明しようとしているのか

人は、目の前のあらゆるものごとに対して同じように注意を向けられるわけではありません。モノトロピズム理論は、その限られた注意が関心のあることに集まると考え、自閉スペクトラムの経験や特徴を説明しようとする理論です。

Murray、Lesser、Lawsonの2005年では、少数の関心に注意が強く集まる傾向を「モノトロピック」、多くの関心がそれぞれ比較的弱く活性化する傾向を「ポリトロピック」と説明しています。

つまり、ポリトロピックは、いろんなものごとに注意が分散していることを表す言葉です。

具体的にどう違うのか

冒頭の料理の場面を、もう少し詳しく考えてみましょう。

ポリトロピックな注意

鍋の火加減を見ながら家族の話を聞き、食卓の準備も気にかけている。

このように複数の関心が並んでいる状態が、ポリトロピックな注意のイメージです。

モノトロピックな注意

ソースの味を整えることに深く入り込み、話しかけられてから会話へ注意を戻すのに時間がかかることも考えられます。

こちらは、少数の関心に注意が強く集まる状態のイメージです。

「一度にいくつもの作業を完璧にこなせる」という意味ではありません。

作業の出来や速さとは別に、何に意識が向いているかを表しています。

モノトロピズム理論では、深い集中と、そこから別のことへ注意を移す負担を関連づけて考えます。

英国のNational Autistic Societyも、モノトロピックな状態は、少数の関心への集中が深い理解につながる一方、切り替えや中断、複数の情報への対応を難しくする場合があると説明しています。

人を二種類に分けるための言葉ではない

ポリトロピックとモノトロピックは、診断名でも、能力の優劣を決める言葉でもありません。

注意の配分を広がりのあるものとして考え、個人の中で使える注意の量が時によって異なるという可能性に触れています。

二つの別のタイプの人間として扱うと、その説明を単純化しすぎてしまいます。

MurrayとLesserの別の解説でも、注意の配分は人と人の間だけでなく、同じ人の中でも時や状況によって異なると述べられています。

診断を判断するための言葉ではありません

自閉スペクトラムの人は全員モノトロピック、それ以外の人は全員ポリトロピック、と常に決めつけることもできません。

料理の例に思い当たることがあっても、それだけで自分や他人の診断を判断する根拠にはならないのでご注意を。

ADHDなどへの関連を考える議論もありますが、まだ推測の域を出ず、今後の研究次第という状況です。

注意の対象が次々に切り替わることと、複数の関心に同時に注意が広がることは同じではありません。

「ADHDはポリトロピックだ」といった一括りの説明へ広げることは避けたいところです。

まとめ

ポリトロピックは、モノトロピズム理論の中で、限られた注意を複数の関心へ比較的広く配る傾向を指します。

少数の関心へ深く注意が集まるモノトロピックとの関係で理解すると、その意味がはっきりします。

この言葉が教えてくれるのは、注意を「集中できるかどうか」だけでなく、「どこへ、どれくらい配られているか」から考える視点です。

人を分類するために使うより、目の前の人が何に注意を向けていたのかを理解するために使うと、理論の意味を捉えやすくなるでしょう。

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