前回に引き続き、ASDとカタトニアについてです
ASDとカタトニア様特徴がある人
どのくらい見られる?
- ASDの人の約1割(10.4%)に、カタトニアがみられました。(ただし研究間の差が大きいため、「約1割」という見積もりは幅をもって解釈する必要があります。)
- ASDにおけるカタトニアは青年期後期に発症し、15~19歳でピークを迎えることを示した。また、カタトニアは男性により多くみられる(70~100%)、先行研究とも一致。
- そのうち約85%に運動の問題あり(動きがぎこちない・動きにくい等)。
- 知的障害(ID)は5.7~81.6%と幅広く報告(うち14.1~46.6%は重度)。
- 言語の問題は34.2%。
カタトニア症状学としては、
(a) 発語障害が29.0~100%、
(b) 協力欠如とネガティビズムが69.5~85.0%、
(c) 外的刺激に影響されない興奮が62.0~75.2%、
(d) 攻撃性が62.0~70.3%、
(e) 姿勢保持が63.3%、
(f) 反響言語が47.5~61.3%、
(g) しかめ面が54.0~55.6%、
(h) 常同運動など反復運動が19.4~61.1%、
(i) 30%に奇異な社会的コミュニケーションと感情や経験の同定困難、
(j) カタトニア様特徴を有するASD個人の50%が社会的相互作用に受動的であった。
ASDとカタトニアの特徴を併せ持つ人が一緒に抱えやすい心身の問題
- 不安:22.2~69.45%(このうち39~83%は強い不安)
- 強迫症状:26.6%
- 多動:44.0~55.6%
- てんかん:11.1~13.0%
※カタトニアの核心的特徴が多いほど、抑うつ症状が多い傾向。
カタトニアとASDの症状の重なりは明確
- カタトニアは、たいてい10代後半ごろに新しく出てくるか、それまでの症状が急に強くなる形で現れます。
- いっぽうASDは、幼いころ(幼児期)から始まるのが特徴です。
- どちらにも共通して見られることがあります:無言、ネガティビズム、異常言語、反響言語、姿勢保持、しかめ面、常同運動、マナーリズム、目的のない興奮などの共通症状がみられる。
- 運動異常、マナーリズム、常同運動は、カタトニアの併存の有無にかかわらずASDに認められる。
- 最近の研究では、ASDにおける常同運動の有病率は約51.8%(21.9~97.5%)と報告されている。
まとめ
まだまだ研究が少なく、診断基準もバラバラで質も高くないため、結果をそのまま広く当てはめるには限界がありますが、ASDとカタトニアを同時に見る良い機会ですね。
私はASDの診断ですが、体が動かなくなったり、一時的に声が出なくなるなど、カタトニア的な症状もかなり当てはまるので、もっと研究が進んで欲しいものですね。
参考資料
Vaquerizo-Serrano, J., Salazar De Pablo, G., Singh, J., & Santosh, P. (2021). Catatonia in autism spectrum disorders: A systematic review and meta-analysis. European Psychiatry, 65(1), e4. https://doi.org/10.1192/j.eurpsy.2021.2259


