「無能の武器化(Weaponized incompetence)」は、わざと・無自覚に「できないふり」をして責任や家事・業務を他者に肩代わりさせる振る舞いのこと。家庭でも職場でも起こり、長期的には負担の不均衡や不信を生みます。
よくあるシーン
能力不足を装って、相手に「じゃあ私がやるよ」と言わせる(例:料理・洗濯・プレゼン資料作成を過剰に苦手アピールして引き受けさせる)。
- 家庭の例:買い物で買うべきものを買ってこない/洗濯物をわざと仕分けを雑にする/「君のほうが上手だから」と常套句で任せる。
- 職場の例:「パワポ苦手で…」と繰り返して資料作りを他者に回し続ける。
ポイント:単発のミスではな「パターン」として繰り返されるなら、この現象を疑う価値があります(「意図的とは限らない」可能性にも留意)。
「知識隠し(Knowledge hiding)」に近い
これに近い概念として知識隠しが確立しており、その代表的な下位概念に「playing dumb(知らないふり)」があります。研究では以下のように整理されています。
- 3つの型:「playing dumb(知らないふり)」「evasive hiding(はぐらかし)」「rationalized hiding(理由をつけて隠す)」。
- 悪影響:知識の行き来を妨げ、創造性の低下や不信・報復のスパイラルを招くことが示唆されています。
見分け方
- 繰り返し:単発でなく、同じ領域で繰り返されるか。
- 言動のパターン:「君の方が上手」「前に失敗したから」などの常套句。
- 境界の曖昧さ:責任や完成条件(いつまでに何をどこまで)が不明確だと起こりやすい。