AuDHDとは?
ASDとADHDの併存、その呼び名と背景
みなさんはASDやADHDという言葉はご存じだと思います。(このブログでも散々扱ってきました)
少し前から発達障害界隈でAuDHD(オーディーエイチディー)なる言葉を目にするようになりましたので、今更ながら少しまとめてみたいと思います。
そもそもAuDHDとは
AuDHDとは、「Autism(自閉症)」と「ADHD」を組み合わせた言葉で、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)が併存することを表す通称です。
ただし、AuDHDという独立した正式診断はなく、医療ではASDとADHDそれぞれの診断を扱います。[1]
つまり、両方の診断を受けた人はもちろんのこと、当人がそう感じている場合にも使われることがあります。
なお、現在ではASDとADHDの併存は医学的にも認められておりますが、意外にも以前の診断基準には両者を併せて診断することに制限があり、2013年のDSM-5でやっと併存診断が認められたんですね。(知らなかった)[2]
いつから使われ出したの?
AuDHDという言葉が使われ始めたのは、英語圏のオンライン当事者コミュニティからでして、2020年代前半、とくに2022年ごろから関心が高まったようです。[3]
表は横にスクロールできます。
| 時期 | どこで・何が起きたか |
|---|---|
| 2013年 | 米国精神医学会のDSM-5で、ASDとADHDの両方を診断できるようになりました。これは医学上の変更で、AuDHDという呼び名の誕生時期を示すものではありません。[2] |
| 2020年代前半〜2022年ごろ | 英語圏の当事者コミュニティで、自閉症とADHDの両方がある体験を表す言葉として普及。臨床心理士Megan Anna Neff氏は、Google検索の関心が2022年ごろから上昇したと説明しています。[3] |
| 2025年には | 米ヴァンダービルト大学の自閉症関連センターでも「AuDHD」を見出しにした解説が掲載され、専門機関も言及するまでになりました。[4] |
ただし、先ほども申し上げたとおり、2026年10月現在、AuDHDという独立した正式診断名ができたわけではありませんのでご注意を。
実際、両方ある人はどれくらいいる?
ASDとADHDが併存している人は割といるようで、2019年のメタ分析では、DSMやICDに基づく臨床診断を報告した研究を集め、ASDのある人にADHDが併存する割合を28%と推定しています。(95%信頼区間は25〜32%)[5]
一方、2023年の別のメタ分析では、72研究、計約20万9,000人分のデータから、調査時点での併存率を37%と推定しています。
ただし、この分析では、DSMまたはICDによる評価や、検査・質問票で「ASD等の可能性がある」という目安の点数をもとに判断しています。そのため、37%という数字が、そのまま「ASDとADHDの両方について、医療機関で正式な診断を受けた人の割合」を表しているわけではありません。[6]
また、研究ごとに対象者の年齢や集め方、評価方法は異なり、結果にも大きなばらつきがあります。明確な数字とはいえませんが、参考程度にお考えください。
個人個人に合わせた工夫が必要
AuDHD、つまりASDとADHDが併存する人には、ある程度、両方の特性が関わる認知や言動のパターンが見られることがあります。たとえば、「決まった手順があると安心するのに、その手順どおりに進めるのが難しい」「興味のある話題に夢中になり、相手の話す番を待てずに話し続けてしまう」といったことです。[1]
ただし、これらは全員に共通する特徴ではなく、特性の組み合わせや強さ、どんな場面で負担になるかには、大きな個人差があることをご承知おきください。
これはASDやADHDにもいえることですが、同じAuDHDという言葉で表していても、困りごとや必要な支援まで同じとは限らないということです。[1]
そのため、対策や支援は一人ひとりに合わせて考える必要があります。「どこでつまずくのか」「何があると取り組みやすいのか」を確かめ、特性や生活環境を踏まえて対策を練る必要があります。
指示をメモにする、作業を小さく分ける、音や光を調整するなど、具体的な工夫を試し、実際に負担が減ったかを見ながら調整していくのがよいかと。
出典
- Cleveland Clinic. “Understanding AuDHD.” 2025年11月24日。 ↩ 本文
- American Psychiatric Association. “Highlights of Changes from DSM-IV-TR to DSM-5.” 2013年。ADHDの項、2ページ。PDF。 ↩ 本文
- Neff MA. “What Is AuDHD (Autism + ADHD Together)?” Neurodivergent Insights. 2026年3月2日。 ↩ 本文
- Vanderbilt University, Frist Center for Autism and Innovation. “AuDHD: The Hidden Dynamics of a Dual Diagnosis.” 2025年8月14日。 ↩ 本文
- Lai MC, et al. “Prevalence of co-occurring mental health diagnoses in the autism population: a systematic review and meta-analysis.” The Lancet Psychiatry. 2019;6(10):819–829。 ↩ 本文
- Micai M, et al. “Prevalence of co-occurring conditions in children and adults with autism spectrum disorder: A systematic review and meta-analysis.” Neuroscience & Biobehavioral Reviews. 2023;155:105436。 対象研究の選定基準は2ページ「2.2. Eligibility criteria」、ADHDの集計値は3ページ「Table 1」を参照。 ↩ 本文

