NEW!クリティカル・シンキングって結局何⁈批判的思考?「クリティカル」とは⁈

メモ

「クリティカル」って
結局何⁈

批判・危機・会心の一撃。
ばらばらに見える意味を、語源からつなぐ。

「クリティカル」と聞くと、何を思い浮かべるだろう。

ゲームをする人なら会心の一撃を「クリティカル・ヒット」などといったり、ビジネスパーソンなら批判的思考のことを「クリティカル・シンキング」といい、物理学では、臨界点のことを「クリティカル・ポイント」などと呼ぶらしいです。

このようにいろんな場面で見かける「クリティカル」ですが、ズバリどんな意味なのかと聞かれると、どうもはっきりしないような言葉です。

なぜ「批判的に考えること」と「大ダメージを与えること」と「危険な状態」や「臨界」が、全て同じクリティカル(critical)なのでしょう。

クリティカルの語源

実はこの一見ばらばらな意味は、語源をたどるとかなりきれいにつながるのです。

critical は、後期ラテン語 criticus、さらにギリシャ語 kritikos にさかのぼります。[1]

そして、その奥にあるのがギリシャ語の krinein です。

krinein

分ける、見分ける、判断する、決める。[2]

kritikos には、「見分ける能力のある」という意味があります。[3]

現代日本語では「批判」というと、どうしても「悪いところを指摘する」「否定する」というイメージが強いのですが。

critical の語源を理解する手がかりになるのは、「物事を分け、違いを見抜き、判断すること」なのです。

「見極める」と覚えておくのが良いかもしれません。

さて、この感覚を持っておくと、クリティカルという言葉のさまざまな意味が、一気につながってくるのではないでしょうか。

クリティカル・シンキングは「見分けて判断する思考」

たとえば critical thinking。

日本語では「批判的思考」と訳されますが、単に「相手の意見の欠点を探すこと」「反論する能力」というわけではなく、

「情報や主張を鵜呑みにせず、根拠や前提を確かめ、筋道を立てて判断する考え方」[4]

と説明できます。(文献4を参考に要約)

つまり、

  • 情報と推測を分ける。
  • 根拠の強いものと弱いものを分ける。
  • 事実と意見を区別する。
  • 複数の可能性を検討し、何を採用するか判断する。

「きちんと“見分けて”判断する思考」と捉えると、意味がつかみやすいのです。

「危機」と「危篤」にもつながるクリティカル

ところで「危機」を意味する言葉に crisis(クライシス)というものがあります。(FF7をやってた人には耳なじみがあると思います)

実はこれも先ほどと同じギリシャ語の krinein の仲間で、

ギリシャ語 krisis は「決定」「判断」を意味し、英語の crisis はもともと医学で、病気が回復へ向かうのか悪化へ向かうのかが決まる転換点を指す言葉として使われていたようです。[5]

ここから、日本では「危篤」や「重体」と訳される、critical condition の意味につながってきます。

医療での critical condition は、非常に重く危険な状態を表します。

語源を手がかりにすれば、「この先どうなるかを左右する重大な局面にある」という感覚ともつながります。

結果が“分かれる”場面。
だから重要であり、危険でもある。

この「分かれ目」という感覚で、先ほどのクリティカル・シンキングの「分ける」「見極める」につながってきたと思います。

ゲームのクリティカルヒットは「特別な命中」

この感覚でゲームの「クリティカル・ヒット」を眺めると、勝敗を左右する(戦況を分ける)一撃 → 決定的な一撃 → 会心の一撃、と連想できます。

語源から眺めると、「会心の一撃」というより「決定打」に近いのかもしれません。

「臨界点」は、変化の分かれ目

さて、臨界点(critical point)は、「ものの性質や振る舞いが変わる、特別な分かれ目」とイメージすると、わかりやすいと思います。

たとえば、砂を少しずつ積んでいくと、やがて山が崩れ始めます。「山を保てる状態」と「崩れ始める状態」の境目のイメージがまさに臨界点なのです。

ここでの critical も、「分かれ目」という感覚で捉えられますね。

次回のノート

脳科学の「クリティカル」へ

そして発達障害研究でも「critical」という言葉がキーワードになります。

ということで次回は、ADHDとブレイン・クリティカリティのお話をします。

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